アパートやマンションなどの投資用不動産は、一般的に高額です。そのため、不動産投資をする人の多くは、金融機関から不動産投資ローンやアパートローンなどの融資を借り入れます。
融資の知識が不足しているために、不動産投資を始められずにいる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、不動産投資で融資を利用するメリットや審査基準、利用する流れなどを分かりやすく解説します。
まずは不動産投資について基本的なことから学びたいという方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
>> 関連記事:不動産投資の第一歩 仕組み・種類・メリット・注意点を徹底解説【リンク】
目次
2023年!不動産投資で融資を受けるのは厳しい?
2023年現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は収束しつつある一方で、ロシア・ウクライナ情勢やアメリカを中心としたインフレなどが続く状況です。このような状況でも、不動産投資の融資は利用できるのでしょうか。
まず、近年は不動産投資の融資審査が厳しくなっています。これは、2018〜2019年ごろに発覚した金融機関の不正融資問題が主な原因です。特に2018年に発覚した「かぼちゃの馬車事件」では、融資を申し込んだ人の収入を証明する資料や物件の収益性を示す書類などを金融機関が改ざんし、通常では組めない金額の融資が複数実行されました。
不正融資の影響により、金融機関の融資審査は厳格化されました。そのため、2023年3月現在も、自己資金をまったく準備せずにフルローンを組んで投資用の不動産を購入するのは難しいでしょう。
一方で、自己資金を準備したうえで金融機関が定める基準にあてはまれば、融資を受けることは可能です。
不動産投資の融資の金利
不動産投資の融資における金利は、金融機関によって設定は異なりますが、一般的には1.0%台〜3.0%台となっています。
また、融資の金利は「固定金利」と「変動金利」で異なります。
固定金利は、借り入れから一定期間の金利を固定するタイプです。変動金利は、市場や社会情勢、金融政策などの影響により定期的に金利が見直されるタイプです。
借入時の金利は、変動金利のほうが低く設定されていますが、返済途中で金利が上昇して返済負担が増える可能性があります。その点、固定金利であれば借入時の金利が高い代わりに、一定期間は返済負担が増える心配はありません。
また、融資審査の結果によっても借入金利は異なります。そのため、金融機関から返済能力が高いと判断されれば、低金利で借り入れられるケースもあります。
不動産投資の融資の借入限度額
融資の借入限度額は金融機関によって異なりますが、3億〜5億円程度に設定されているのが一般的です。
ただし、借入金利と同様に借入限度額も金融機関の審査によって決定します。そのため、商品説明に記載された借入限度額いっぱいまで融資を受けられるとは限りません。
一般的に不動産投資ローンの融資上限額は、年収の7〜10倍といわれています。
例えば、年収が500万円であれば3,500万〜5,000万円が融資上限額の目安となります。
ただ、所有している資産によっては融資上限額が変動することもあるので、融資担当者と綿密に相談することをおすすめします。
不動産投資で融資を受けるメリット
不動産投資をする際に、融資を利用するメリットは、以下の通りです。
- 自己資金が少なくても始めることができる
- 家賃収入で融資を返済できる
- 団体信用生命保険に加入できる
- 手持ち資金を残せる
1つずつみていきましょう。
自己資金が少なくても投資を始めることができる
金融機関からの融資を受けられると、レバレッジ効果が期待できます。レバレッジ効果とは、借入金をはじめとした他人の資本を利用することで、投資効率を高められる効果のことです。
例えば、自己資金が100万円であるとします。融資を利用せずに価格が100万円、想定利回りが年4%の商品に投資をすると、年間で得られる収益は4万円です。
一方で、金融機関から3,900万円の融資を受けて4,000万円の不動産に投資をした場合、想定利回りが同じ年4%であったとしても、 年間160万円の収益が期待できます。
実際に融資を受ける際は、金融機関に支払う事務手数料や保証料などがかかります。また、投資物件を貸し出しているときは、管理費や修繕費などもかかるため、収益のすべてが手元に残るわけではありません。
しかし、借入時や賃貸経営時の諸費用を差し引いたとしても、融資を利用しない場合よりも多額の収益を得られる可能性があります。
家賃収入(他人資本)で融資を返済できる
住宅ローンや自動車ローンなどは、給与などの収入から返済をしていかなければなりません。一方で不動産投資の融資であれば、物件から得られた家賃収入で返済が可能です。
そのため、物件が高額であったとしても高い家賃収入が期待できるのであれば、融資を受けられる可能性があります。
家賃収入に関してはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
>> 関連記事:家賃収入のデメリット4選!不動産投資のリスクや注意点を考えて資産形成しよう【リンク】
団体信用生命保険に加入できる
団体信用生命保険(以下、団信)は、融資を借り入れた人が亡くなったり所定の高度障害状態になったりしたときに、保険金が支払われて残債が0円となる保険です。
団信に加入していた場合、融資の返済途中でオーナーが亡くなると以後の返済義務が免除されます。残された家族は、返済をすることなく家賃収入を得られる物件を引き継ぐことが可能です。不動産から得られる家賃収入は、残された家族の生活を経済的に支えてくれるでしょう。また、不動産が不要であれば売却してまとまった現金に換えることも可能です。
手持ち資金を残せる
不動産を購入できるだけの資金を持っていたとしても、自己資金を残すために融資を利用するケースは少なくありません。
例えば、手持ち資金が3,000万円であるとしましょう。2,800万円の物件を購入すると、残りの手持ち資金は200万円に減ってしまいます。
手持ち資金が少ないと、投資する物件で想定外の修繕・メンテナンスが必要になったとき、資金繰りが悪化しやすいです。また、病気やけがなどで働けなくなって収入が減少したときに、生活が苦しくなるかもしれません。そこで、手持ち資金3000万円に2,000万円の融資を受けて物件を購入することで、2,200万円の資金を残せます。まとまった手持ち資金があれば、突発的なトラブルにも対処しやすいでしょう。
不動産投資の初期費用に関してはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
>> 関連記事:不動産投資の初期費用の内訳とは?注意したい手数料の交渉方法も解説【リンク】
不動産投資の融資の審査基準
不動産投資の融資審査では「借り入れる本人に関する項目」と「物件に関する項目」がそれぞれ審査されます。ここでは、融資審査でチェックされる項目をみていきましょう。
借り入れる本人に関する審査項目
融資審査では、「借り入れる本人に関する項目」として返済能力があるかどうかがチェックされます。具体的な審査項目は、以下の通りです。
- 年収 / 保有資産
- 勤続年数
- 信用情報
「年収が高い人」「安定した収入がある」「現金で保有している資産が多い」などに該当する人は、返済能力が高いと判断されて審査に通過しやすくなります。
信用情報は、クレジットカードやローンなどの申込状況や利用状況などに関する情報のことです。信用情報機関に、一定期間登録されています。
不動産投資の融資審査の際、金融機関は信用情報機関に照会をし、借り入れを申し込んだ人の個人情報を確認します。そのため、他の借り入れが多い人や返済または支払いを長期間にわたって滞納した履歴がある人は融資審査に通過するのは困難になりやすいです。
物件に関する審査項目
不動産投資における融資審査では、「物件に関する項目」として物件の収益性が確認されます。融資の返済原資は、物件から得られる家賃収入であるためです。物件の収益性が低く安定した家賃収入が期待できない場合、融資をしたあとに返済が滞ってしまうかもしれません。
そのため、金融機関や融資を利用して購入しようとしている物件の立地や築年数、間取り、想定賃料などをもとに、収益力を入念に審査します。
また、金融機関は、物件に担保としての価値があるかどうかも審査されます。融資を受けた人が返済を長期間にわたって滞納したとき、金融機関は担保となっている物件を差し押さえて強制的に売却(競売)し、融資金を回収するためです。
担保となっている物件を差し押さえて競売にかけられる権利を「抵当権」といいます。物件に担保としての価値がないと、金融機関は抵当権を行使したとしても、十分な売却金を得られず融資の回収が困難となりかねません。
そこで、金融機関の融資審査では、融資を受けて購入しようとしている物件に担保としての価値があるかどうかが確認されます。
不動産投資で融資を受ける流れ
不動産投資で融資審査を受ける流れは、以下の通りです。
- 融資を受ける金融機関を選ぶ
- 事前審査を申し込む
- 本審査を申し込む
- 金融機関とローンの契約を結ぶ
1. 融資を受ける金融機関を選ぶ
不動産投資の融資は、大手銀行や地方銀行、信用金庫などさまざまな金融機関が取り扱いをしています。借入先を検討するときは、各金融機関の商品内容や申込条件、サービス内容などを比較することが大切です。
自分自身で金融機関を選ぶときは、インターネットで検索して金融機関のホームページで融資の内容や条件を確認しましょう。また、不動産会社や知人・友人、オーナー仲間に紹介してもらえることもあります。
候補となる金融機関が見つかったら、店舗の窓口で担当者と相談をします。
2. 事前審査を申し込む
融資を受けたい金融機関が見つかり必要書類を準備したあとは、事前審査を申し込みましょう。事前審査は、簡単にいえば本審査に通過できるかどうかを確認するための審査です。
融資の本審査を申し込むのは、不動産の売買契約を結んだあとです。そのため「不動産の売買契約を結んだあとに本審査に通過できなかった」という事態とならないように、不動産を購入するときは事前審査を受けます。
事前審査では、身分証明書や収入を証明する書類、物件の詳細情報が記載された書類の提出を求められるのが一般的です。金融機関は、提出された書類をもとに個人の返済能力や物件の収益性を審査します。事前審査の結果は、一般的には2日〜1週間程度で分かります。
3. 本審査を申し込む
事前審査に通過し、不動産会社と物件の売買契約を結んだあとは、金融機関に借り入れの申込書を提出し、本審査を申し込みます。
本審査では、個人の信用力や物件の収益性、担保価値などがより入念に審査されます。本審査の結果が分かるまでに要する期間は、申込後2週間〜1か月程度です。
4. 金融機関とローンの契約を結ぶ
融資審査に通過したあとは、金融機関から融資額や融資期間、借入金利などの条件が提示されます。借入条件に問題がなければ、金融機関と「金銭消費貸借契約」を結びます。
金銭消費貸借契約を結ぶときは、金融機関の店舗に出向くのが一般的です。金融機関と契約を結んだあとは、物件の引き渡し日を迎えると融資が実行されます。
不動産投資で融資を受ける際の注意点
不動産投資で融資を受けるときの主な注意点は、以下の通りです。
- 必要書類は早めに準備する
- 投資をする物件は慎重に選ぶ
1つずつ解説します。
必要書類の準備は早めに開始する
融資を受けるために必要な書類は複数あります。そのため、金融機関の融資を利用する際は、早めに準備を開始しましょう。
審査時に必要となる書類は金融機関によって異なりますが、一般的には以下の通りです。
必要書類の例 | |
投資する不動産に関する書類 | ・物件概況書:物件名や所在地、面積などの情報が記載された書類 ・レントロール:物件の賃貸契約情報をまとめた書類 ・物件のパンフレットやチラシ、販売図面 ・登記簿謄本:不動産の所在地や所有者などが記載された書類 ・公図:土地の位置や形状などが記載された書類 ・建築確認済証:建物の建築計画が建築基準法に適合していることを証明する書類 ・検査済証:建物が建築基準法に適合していることを証明する書類 ・事業計画書:不動産投資の事業内容や収益見込みなどを記載する書類 |
契約に関する書類 | ・不動産の売買契約書 ・重要事項説明書 |
本人に関する書類 | 運転免許証やマイナンバーカード など |
所得を証明する書類 | 確定申告書や源泉徴収票、納税証明書 など |
金融資産を確認できる書類 | 預金通帳・金融機関の残高証明書 など |
投資する不動産に関する書類の多くは、不動産会社から入手できます。
上記の他にも、金融機関からすでに融資を受けている場合は「ローン償還予定表」や「返済明細書」などの借入状況が分かる書類が必要です。
また、団体信用生命保険に加入する場合は、引き受け先の保険会社から健康診断書の提出を求められることがあります。
投資をする物件は慎重に選ぶ
融資を受けて不動産投資を始めたあとは、借入金を返済していく必要があります。借入金の主な返済原資となるのが、物件から得られる家賃収入です。
不動産投資には、投資対象の物件で空きが生じると家賃収入が途絶えてしまう「空室リスク」があります。空室リスクが高い物件は、退去者が出ると次の入居者がなかなか決まらず、家賃収入が途絶えやすいです。
家賃収入が途絶えてしまい融資の返済が困難になると、投資した物件を差し押さえられてしまいかねません。
また、物件が競売にかけられたあとに残った債務については、一括返済を求められるのが一般的です。競売にかけられたあとの残債が多いと、自己破産となってしまいかねません。
そのため、融資を受ける際は「安定した賃貸需要が見込めるエリアの物件を選ぶ」「物件の維持・管理を徹底する」などの方法で、空室リスクに対策することが大切です。
不動産投資のリスクに関してはこちらの記事で解説しているので、参考にしてみてください。
>> 関連記事:不動産投資にリスクはつきもの!カモにならない賢い投資を学ぼう!【リスク】
不動産投資の融資と住宅ローンの違い
住宅ローンとは、マイホームを購入するときに利用する融資です。不動産投資の融資と住宅ローンの主な違いは、以下の通りです。
- 借入の目的
- 返済原資
- 借入金利
- 融資審査
不動産投資の融資は、収益を得るための物件を購入するときに利用するのに対し、住宅ローンは住宅の購入や増改築に充てる資金を調達するときに利用します。
返済原資は、住宅ローンの場合、給与などの労働による収入です。一方の不動産投資ローンは、毎月の家賃収入が返済原資となります。借入金利については、住宅ローンのほうが低く設定されています。借入額が同じである場合、不動産投資ローンのほうが返済負担は重くなるのが一般的です。
住宅ローンの審査では、借り入れる人の年収や勤続年数、他の借り入れ状況などの属性や物件の担保価値が審査されます。対して不動産投資の融資審査では、個人の属性や物件の担保価値だけでなく、物件の収益性も確認されます。
融資を受けて不動産投資を始めるのがおすすめな人
融資を受けて不動産投資を始めるのがおすすめな人の例は、以下の通りです。
- 老後に向けた資産形成をしたい人
- 安定した収入がある人・勤続年数が長い人
- まとまった貯蓄がある人
それぞれの特徴を解説していきます。
老後に向けた資産形成をしたい人
少子高齢化が進む日本では、 将来的に労働人口が減って年金を受け取る人口が増えていくと予想されています。そのため、老後に国から支給される年金の支給額や支給が開始される年齢が、今後変更されるかもしれません。
そこで、安定した賃貸需要が見込めるエリアの物件に投資をして、家賃収入を得られるようにしておくと、国からの年金とは別の収入源を増やせます。収入源が増えれば、金銭的にゆとりのある老後生活を送りやすくなるでしょう。
老後生活が始まるまでに融資の返済を終えることができれば、より多くの家賃収入をセカンドライフの生活費に充てられます。老後に向けた資産形成を考えている方は、不動産投資を始めてはいかがでしょうか。
安定した収入がある人・勤続年数が長い人
金融機関は、毎月の収入の変動幅が小さく安定している人を高く評価する傾向にあります。そのため、上場企業の正社員や医師などは、金融機関からの融資を引きやすいです。
また、勤続年数が長いほど、融資審査には有利です。金融機関によって審査基準は、異なりますが、一般的には同一企業での勤続年数が3年以上である人は、審査に有利といわれています。
安定した収入がある人や勤続年数が長い人は、個人の属性が良いと評価されやすいため、融資を利用しやすいでしょう。金利や借入金額などが好条件となる可能性もあるため、融資を利用した不動産投資に向いていると考えられます。
まとまった貯蓄がある人
融資の審査に通過するためには、少なくとも物件価格の1〜2割の自己資金が必要となるのが一般的です。
そのため、物件購入時の自己資金を準備できるほどの貯蓄がある人は、融資の利用を検討すると良いでしょう。多額の貯蓄がある人は、金融機関から「お金の管理ができる人だ」と評価されて、審査に有利となる可能性もあります。
また、物件を購入したあとに修繕やメンテナンスが必要になったときや、所得税や住民税などの納税が必要になったとき、まとまった貯蓄があれば対処しやすいでしょう。
まとめ
金融機関から融資を受けられると、自己資金が少なくても不動産投資を始めることができます。特に、安定した収入があり勤続年数が長い人は、より有利な条件で融資を受けることも可能でしょう。
不動産投資ローンの融資審査時は、物件の収益性が確認されます。また、家賃収入が途絶えると返済が苦しくなってしまいかねません。そのため、融資を利用するときは、安定した家賃収入が期待できる物件を選ぶことが大切です。
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